小児科医に聞く 赤ちゃんのお肌Q&A
小児科医に聞く 赤ちゃんのお肌Q&A
第6回「肌トラブルだ!と思ったら」
判断が難しい赤ちゃんの肌トラブル……。こんな場合は病院へ
肌のトラブルには、個人差があります
ほかの臓器などに比べ、皮膚のトラブルの症状は見た目に出ますから、日々のちょっとした変化に一喜一憂しがちです。でも、皮膚のトラブルは、よほどのことがない限り、命に別状はありません。ですから、症状も長い目でとらえることが大切だと思います。「敏感肌」「肌荒れ」「かぶれ」などは、アレルギー体質とも関連し、個人差のあるもの。まったくなんともない子もいれば、かなり敏感な肌の子もいます。また、小さいときに「敏感肌」だからといって、ずっとそうだということではありません。年齢を重ねるにつれ、抵抗力がついて改善していく子もたくさんいます。
子どもの肌トラブルは判断が難しい
赤ちゃんの肌は、時期や体の部位によって、乾燥していたり脂っぽかったりなど、いろいろな症状が現われます。この症状なら「アトピー性皮膚炎」、この症状なら「乾燥肌」といった明確な区別はつきにくいのです。皮膚科の病気の場合、全般的に、初診で原因を特定し、病名を断定できるものは多くはありません。具体的な皮膚の状態に加えて、症状の経過も判断材料にするため、最初は「敏感肌」だと思われたものが、最終的には「アトピー性皮膚炎」だと判明したり、またその逆の場合だったりすることがあります。また、お子さんの場合は、成長に伴って皮膚の状態が変わっていくため、大人と違って、判断が難しいのです。正常な部分が見られないほど肌に赤みを帯びた状態になったり、皮膚がむけてジュクジュクした状態になったときは、病院へ。乾燥が進むとかゆみが強くなりますが、乳児の場合は自分でかくことができませんので、寝返りをしながらかゆみの部分をどこかにすりつけたりすることがあります。そういうしぐさを見つけた場合も受診をおすすめします。
「湿疹」ができたら
洗顔でも湿疹が治らない場合は病院で薬をもらうことになりますが、塗り薬は大まかにわけるとローションと軟膏の2種類があります。ジュクジュクしている場合には、薬剤を患部にある程度とどめることができる軟膏を使うことが多いです。乾燥している湿疹や、汗をかいて皮膚の水分が足りなくなった時には、水分を補給する意味でもローションをつけます。また、季節によっても使い分けをします。冬、乾燥して局所に湿疹ができてひどくなっている時には軟膏、夏、汗をいっぱいかいて赤くなっている時にはローションを使うなどです。薬をもらう時に相談してください。
監修の先生のプロフィール
加部一彦(かべかずひこ)
- 埼玉医大総合医療センター新生児科教授、小児科医。
- 新生児集中治療室(NICU)で、主に早産のために小さく生まれたり、生まれてすぐに何らかの病気をかかえ、入院となった赤ちゃんのお世話を生業としている他、医療安全や病院建築など幅広い領域に関心を持って活動中。すでに社会人となった3人の息子達とはSNSで情報交換したり、時には飲みに行ったりと、「オトナの付き合い」ができる様になった事を喜んでいる。著書に『新生児医療は、いま』(岩波書店)、『障害を持つ子を産むということ』(中央法規出版)など。
石井のぞみ(いしいのぞみ)
- 東京女子医科大学医学部卒業。現在、愛育病院小児科勤務。01年12月に女児を出産、02年4月より職場復帰。自分が子どもを持ったことで、よりママ・パパの気持ちがわかるようになり、具体的なアドバイスができるようになったと話す。近年の小児科は、心の問題の比重が大きくなってきている。精神的な面から体の不調を訴える子どもたちとママ・パパの力になっていければと考えている。