小児科医に聞く 赤ちゃんのお肌Q&A
第4回「アトピー性皮膚炎」その1 アトピーについて
「アトピー」と正しく向き合うために、まずは知っておきたい基礎知識から。
Q:妊娠中の食生活が原因で「アトピー」になる?
「アトピー」は体質なので、自分で選びようがないうえ、どんなことがその人の体質に影響を及ぼすかわかりません。妊娠中の食事が引き金になる可能性はあるかもしれませんが、原因はそれだけではないはず。何かトラブルが起きたら、その時々で最善の対処をすればいいんです。
Q:「アトピー」はどれぐらいの割合で発症しますか?
非常に多く、1割の子は「アトピー性皮膚炎」と診断されます。これは10年前の数字に比べると約2倍ほど。症状が増えたのか診断が変わったのかは不明ですが、少しでも皮膚がざらざらすると「アトピーですか?」と聞く人は来院する方にも増えていますね。また、昔は食事療法をしていましたが、新しいデータでは、食事制限によって栄養が偏る心配があり、現在は極端な食事制限はしない方がいいと指導されています。
Q:普段の生活の中で「アトピー」を予防できる手だては?
「アトピー」は、はっきり原因がわからないので、残念ながら有効な予防法はありません。まずはママ自身が、バランスのとれた健康的な食生活を心がけましょう。自分の健康を守ることが赤ちゃんの健康を守ることにつながります。
Q:自宅でのスキンケアのせいで肌トラブルが悪化することはある?
赤ちゃんの肌は清潔にすること、そして湿度を一定に保つために保湿してあげること。それが肌トラブルの基本のケアになります。最初の育児はおっかなびっくりになりがちですが、ママの不安は赤ちゃんにも伝わるもの。自信を持って頑張ってください。
監修の先生のプロフィール
加部一彦(かべかずひこ)
埼玉医大総合医療センター新生児科教授、小児科医。
新生児集中治療室(NICU)で、主に早産のために小さく生まれたり、生まれてすぐに何らかの病気をかかえ、入院となった赤ちゃんのお世話を生業としている他、医療安全や病院建築など幅広い領域に関心を持って活動中。すでに社会人となった3人の息子達とはSNSで情報交換したり、時には飲みに行ったりと、「オトナの付き合い」ができる様になった事を喜んでいる。著書に『新生児医療は、いま』(岩波書店)、『障害を持つ子を産むということ』(中央法規出版)など。
石井のぞみ(いしいのぞみ)
東京女子医科大学医学部卒業。現在、愛育病院小児科勤務。01年12月に女児を出産、02年4月より職場復帰。自分が子どもを持ったことで、よりママ・パパの気持ちがわかるようになり、具体的なアドバイスができるようになったと話す。近年の小児科は、心の問題の比重が大きくなってきている。精神的な面から体の不調を訴える子どもたちとママ・パパの力になっていければと考えている。