小児科医に聞く 赤ちゃんのお肌Q&A
第2回「赤ちゃんの紫外線・皮脂対策」
大人と同じように赤ちゃんが紫外線を浴びて大丈夫?皮脂が多いときの洗顔は?赤ちゃんのための肌対策について。
Q:赤ちゃんも紫外線でシミができますか?
皮膚の表面にある一番上の層とその下の層の間に色素を持つ層がありますが、そこに色素の細胞が集まるとシミができます。刺激が多いほど色素の細胞が増えることがわかっているので、たくさん紫外線を浴びればシミができると思いますが、子どもの場合は皮膚の細胞のサイクルが早いので、シミになる前に新しい皮膚に入れ替わるでしょう。赤ちゃんの頃の日焼けが原因で、年頃になってシミになることもないと思います。
Q:紫外線のケアをしないと、「敏感肌」や「アトピー」になりますか?
紫外線の影響で、「敏感肌」や「アトピー」になるということはほとんどないと思います。ただ、紫外線をあびることでの細胞への障害というのは懸念されていますので、小さな頃から紫外線対策を考えておくことはいいことです。
Q:赤ちゃんに日焼け止めクリームを塗ってもいいですか?
生後3カ月くらいまでの赤ちゃんにはあまり良いとはいえないと思います。汗の腺がまだそんなに多く開いていないし、皮膚も非常に薄い状態で、その下の汗の腺や皮膚呼吸が抑えられることもあるからです。海辺に行ったときなど、一時的な対策で日焼け止めをつけることは有効です。しかし、汗をかけば落ちてしまうので、塗ることで100%対策したとはいえません。限界や効用をよく考え、過信せず一時的な対策として使い、使った後は、帰宅後きちんと洗い落としてあげることも大切ですよ。
Q:自宅でのスキンケアのせいで肌トラブルが悪化することはある?
赤ちゃんの肌は清潔にすること、そして湿度を一定に保つために保湿してあげること。それが肌トラブルの基本のケアになります。最初の育児はおっかなびっくりになりがちですが、ママの不安は赤ちゃんにも伝わるもの。自信を持って頑張ってください。
監修の先生のプロフィール
加部一彦(かべかずひこ)
埼玉医大総合医療センター新生児科教授、小児科医。
新生児集中治療室(NICU)で、主に早産のために小さく生まれたり、生まれてすぐに何らかの病気をかかえ、入院となった赤ちゃんのお世話を生業としている他、医療安全や病院建築など幅広い領域に関心を持って活動中。すでに社会人となった3人の息子達とはSNSで情報交換したり、時には飲みに行ったりと、「オトナの付き合い」ができる様になった事を喜んでいる。著書に『新生児医療は、いま』(岩波書店)、『障害を持つ子を産むということ』(中央法規出版)など。
石井のぞみ(いしいのぞみ)
東京女子医科大学医学部卒業。現在、愛育病院小児科勤務。01年12月に女児を出産、02年4月より職場復帰。自分が子どもを持ったことで、よりママ・パパの気持ちがわかるようになり、具体的なアドバイスができるようになったと話す。近年の小児科は、心の問題の比重が大きくなってきている。精神的な面から体の不調を訴える子どもたちとママ・パパの力になっていければと考えている。