持田ヘルスケア株式会社

助産師に聞く 妊娠初期Q&A

助産師に聞く 妊娠初期Q&A

妊娠初期の悩み・不安

妊娠が判明してから安定期に入るまでは、からだも心も不安定になってしまうもの。
急激な自分のからだの変化に驚いたり、「おなかの赤ちゃんは大丈夫?」と心配になってしまったり。
助産師さんのアドバイスを参考に、リラックスしながらこの時期を乗り切りましょう。

Q.

つわりの原因や効果的な対処法は?

・つわりがあったのに急になくなるのは流産?
・病院にいくべき? 受診が必要な目安
・つわりを上手く乗り越えるためのコツ

A.

つわりは、妊娠初期の妊婦さんのほとんどが経験する、不快なマイナートラブルの一つです。妊娠してうれしい気持ちのはずなのに、つわりの症状が辛く、イメージしていた妊婦生活とは少しかけ離れた生活に不安や戸惑いを感じている妊婦さんも多いのではないでしょうか?
つわりの症状やその程度、持続期間は人それぞれ。自分の症状や生活パターンに合った対処方法を見つけて、上手に乗り切ることを目指しましょう。

つわりの原因には、妊娠初期の急激なホルモン環境の変化や自律神経の変化、アレルギー反応、精神的な要因など様々な説がありますが、はっきりとしたメカニズムは、まだ解明されていないのが現状です。

つわりの症状には、むかつきや吐き気、嘔吐、唾液量の増加、全身倦怠感、頭痛、眠気、食欲不振、偏食傾向や匂いに敏感になるなど、さまざまなものがあります。症状や程度は個人差が大きく、また、時間帯や日によっても異なることがあります。経産婦さんより初産婦さんに、頻度が多いといわれています。

■つわりの持続期間

つわりの期間は妊娠5~6週頃から始まり、辛さのピークは妊娠7~10週頃という人が多く、だいたい妊娠12~16週頃には落ち着いてくる場合が多いようです。これも個人差が大きく、徐々に症状が軽くなり、気がついたら症状がなくなっていたという場合や、症状は楽になってもスッキリせずにダラダラと続く場合、急に症状がなくなる場合もあります。
急に症状がなくなった場合、今までの辛さから解放されてうれしいかもしれませんが、なぜ急になくなったかは気になりますね。つわりは妊娠のサインですから、妊娠が終了した場合も、つわりは終了します。つわりの急な終了だけでは流産の可能性があるかどうかは判断できませんが、急につわりがなくなり、出血や下腹部痛がある場合、またもともと切迫流産の可能性を診断されている場合は、病院を受診して、超音波検査で赤ちゃんの状態を診てもらうと安心でしょう。

■受診が必要な目安

つわりは“妊娠に伴う生理的な現象”で、病気ではありませんが、つわりの程度が重症化し、食事や水分が摂取できなくなった状態を「妊娠悪阻」といい、病気として治療が必要な状態になることがあります。「つわり」と「妊娠悪阻」ははっきりと区別されていませんが、脱水症状がひどくなると、深部静脈血栓症やウェルニッケ脳症という病気を引き起こし、母子ともに生命の危機に繋がりかねないため、つわりを軽視してはいけません。
重症化を予防するためには、治療が必要な場合もありますので、病院を受診する目安を知っておくことが大切です。

□一日中続く頻繁な嘔吐
□食事・水分摂取が困難 
□急激な体重減少
□脱水状態(肌にハリがなくなったり口の中がカラカラに乾燥している場合)
□頭痛
□おしっこの回数が極端に少ないorほとんど出ない
□体力が落ちてフラフラする

以上のような症状にあてはまる場合は、病院を受診しましょう。症状に合わせて安静療法や食事療法、点滴治療を受けることができます。

■つわりを上手く乗り越えるためのコツ

日本では今のところ、つわりの特効薬はありません。ですから、つわりが終わる時まで症状とうまく付き合っていかなければなりません。症状と一緒で、症状を軽減できる方法も人それぞれですから、つわりを重症化させないためにも自分に合った対処方法を見つけましょう。

●こまめに水分補給をしましょう。
脱水症状を起こさないためにも、水分補給はとても大切です。
水分が不足すると、口の渇きや頭痛、全身倦怠感といった症状のほか、尿量が少なく尿の色が濃くなるのも脱水症状を引き起こしている一つのサインになります。炭酸水やスポーツ飲料、ジュースでもよいです。水分が気持ち悪い、という場合はゼリーやヨーグルト、水分が豊富な果物や野菜など食べるようにしましょう。

●タンパク質と炭水化物を摂りましょう。
つわりに予防になるといわれている、タンパク質と米やうどん、パンなどのいわゆる主食である複合炭水化物をできるだけ摂るように心がけましょう。

●食事を小分けにしましょう。
1回に胃の中に入れる量を軽減し、胃腸に負担をかけないよう小分けにして、食事を摂るようにしましょう。食べたいときに食べる、でもよいのですが、「今なら食べられる!」という時に調子に乗って沢山食べてしまうと、後で気分が悪くなり吐き気や嘔吐が続く可能性もあります。ですから、食欲があってもおなかいっぱい食べるのは控えた方がよいでしょう。

●すぐ食べられるものを準備しておきましょう。
何かを口にいれていないと気分が悪くなる食べづわりの場合や、朝の寝起きなど空腹のときに症状が辛い場合は、酸味のある飴や梅干し、小さめのおにぎりなど手軽に口にすることができるものを常備しておきましょう。それらを少しつまんでから起きると少し楽に過ごせるでしょう。

●吐いた後は、必ずお口のケアをしましょう。
吐いた後は歯磨きをするか、口をゆすぐようにしましょう。この時期はむし歯にもなりやすい時期なので、お口のケアをしっかり行いましょう。口の中がスッキリすると吐き気がおさまるでしょう。

●バランスよく食事を摂ることができなくても大丈夫。
「栄養バランスがよい食事が摂れないと、赤ちゃんが健康に育たないのでは?」と心配に感じるかもしれません。でもつわりのときは、その心配はしなくて大丈夫です。ですから、食べられる物、食べたい物を食べるようにしましょう。

●無理せず、ゆっくり過ごしましょう。
気分が悪くなったら無理をしないことが大原則です。家庭では、家族の理解を求め、家事や育児に協力してもらいましょう。仕事をしているママは早めに職場に妊娠の報告をして、時差出勤や短縮勤務など、無理のない働き方をしましょう。

●気分転換も大切です。
気分がすぐれない日々が続いたり、調子が良くても出先で気分が悪くなったら…と心配したりすることで、家に引きこもりがちです。つわりの症状の程度は精神的な影響も少なからずあるので、つわりのことばかり考えずに、少しでも調子の良い日は近所を散歩してみたり、趣味に没頭したりして、気持ちをほかに向けて気分転換をしてみましょう。

■お仕事をされている妊婦さんへ

自分が妊娠したことで、仕事にどのような影響が出るのかを客観的に見直してみましょう、それは、これから自分が仕事を続けるために、我慢や無理をしなければいけないという覚悟を決めるためではありません。無理なくできることとできないことをはっきりさせて、責任を持てる仕事内容を考えるということです。これは、いざという時に周囲に迷惑をかけないための、社会人としてのマナーです。我慢したり無理をしたりすることで、つわりの時期だけではなく妊娠自体にトラブルを起こすこともあります。

妊娠は安定期に入ってから報告したい気持ちもあるかと思いますが、せめて雇用主と直属の上司には報告をして、出勤時間や出勤方法、仕事内容などの相談をしましょう。これは男女雇用機会均等法で雇用主に義務付けられていることなので、産科の医師に母子健康手帳へ必要事項を記入してもらい、職場に申請すれば取得できる権利です。
権利とはいえ、なかなか言い出しにくいと感じてしまう人もいるかもしれませんが、言わずに無理な仕事をして体調を崩したり、妊娠継続に問題が起きたりする可能性もあります。

また、妊娠初期は、周囲への感謝と信頼を崩さないような対処がとても大切な時期です。そっと陰で気遣ってくれている同僚への感謝の気持ちも忘れないようにしましょう。

何もかも初めての初妊婦さんは妊娠による体調の変化に不安や戸惑いを感じたり、経妊婦さんは上の子のお世話をしながら体調の変化と向き合わなければならないため、妊娠初期は多くの妊婦さんにとって少し辛い時期かもしれませんね。つわりの辛さが、家族や職場など周囲から理解されず、精神的にも辛い思いをしてしまうかもしれません。

しかし、「自分だけ…」とは思わず、同じ思いで過ごされている妊婦さんや、つわりで同じような辛い経験を乗り越えてきた女性がたくさんいるということを心の支えに、前向きな気持ちで、つわりが軽くなってくる時期を待ちましょう。

回答いただいた助産師さん

大谷紗弥子さん

  • 聖母病院(東京都新宿区)勤務。
    妊産婦さんやそのご家族が安心して新たな家族を迎えられるようにサポートをするかたわら、妊娠前の女性や妊婦さんへの食育やマタニティヨガを通して、女性のからだづくりにも携わっている。

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