持田ヘルスケア株式会社

助産師に聞く 妊娠後期のQ&A

助産師に聞く 妊娠後期のQ&A

妊娠後期の悩み・不安

出産を間近に控えた妊娠後期は、からだだけでなく、心も不安定になりがちです。
ひとりで抱え込まずに、助産師さんに相談をして残り少ない貴重な妊娠期間を存分に楽しみましょう。

Q.

カンガルーケアについて教えてください

どんなメリットがあるのでしょうか?
やる場合、気をつけたほうが良いことを教えてください。
病院によって、対応していないところもあるようですが、どうしてですか?

A.

最近では、バースプランとして多くの方が希望される「出生後早期のカンガルーケア」。
「生まれて間もない赤ちゃんをお母さんの胸元に肌と肌を触れ合わせて抱っこし、母子の絆を早い時期から強めていこう」というものです。
出産される方にとって、親しみのある言葉となっていますね。

しかし、「カンガルーケア」とは本来、「早産や低出生体重児で生まれたけれども、全身状態が安定している赤ちゃん」に対して行われるものです。

「カンガルーケア」という名称が誤った安全な印象を与えてしまい、十分な安全管理が行われていない状況で安易に行われてきた実情もあり、ケアの最中に赤ちゃんの呼吸停止による死亡や脳障害などのトラブルが報告されるようになりました。

正期産で生まれた赤ちゃんでも、生まれてすぐは呼吸や循環状態がまだ不安定で状態が急変する可能性があります。つまり、生まれてすぐの赤ちゃんとお母さんが触れ合うことは、前述の全身状態が安定した赤ちゃんに対して行う「カンガルーケア」とは区別して考えなくてはいけません。

そこで、出生後早期の正期産の赤ちゃんに行われるものは「カンガルーケア」とは呼ばず、「早期母子接触」と呼ぶことになり、同時に安全管理を踏まえたガイドラインが定められました。

ガイドラインでは、早期母子接触を行う注意点として、赤ちゃんに呼吸状態を確認するモニターをつけ、急変に備えた安全対策を取ることや、効果だけではなく危険性について説明をし、同意を得たうえで行うように呼びかけています。

バースプランで早期母子接触を考えている方は、効果だけではなく危険性を理解し、出産施設ではガイドラインに沿った安全管理が行われているか確認しましょう。

早期母子接触の考え方や安全管理の限界から、実施を中止している施設もあります。また、赤ちゃんの状態や出産後のお母さんの状態によって治療や処置を優先するために早期母子接触ができない可能性もあります。

早期母子接触ができなかった場合や、元々、希望しなかった場合でも、赤ちゃんとお母さんの状態が落ち着き次第、できるだけ早い時期に赤ちゃんに会わせてもらいましょう。赤ちゃんが洋服を着た状態で、赤ちゃんを触ったり、可能であれば抱っこしたり、授乳も行ってみましょう。赤ちゃんとお母さんが近くで一緒に過ごす時間はお互いに安心できるとても大切な時間です。

回答いただいた助産師さん

大谷紗弥子さん

  • 聖母病院(東京都新宿区)勤務。
    妊産婦さんやそのご家族が安心して新たな家族を迎えられるようにサポートをするかたわら、妊娠前の女性や妊婦さんへの食育やマタニティヨガを通して、女性のからだづくりにも携わっている。

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