持田ヘルスケア株式会社

スキナベーブ エッセイコンテスト

【第9回】
~ 赤ちゃんと笑顔 ~

入選

娘の誕生

神奈川県  主婦  27歳

予定日を2日過ぎた4月11日の夕方。カーテンの隙間からキラキラと夕日が差し込む分娩室で産声をあげた愛娘。
助産師の母に取り上げられ、立ち会ってくれた主人、応援に来てくれた妹とその子供達、手伝いに来てくださった母の知人の助産師の方々…たくさんの人の笑顔に囲まれながらはじめて娘を胸に抱いた瞬間はまさに「最幸」の時間でした。そしてそれは主人も同じだったのです。
お世辞にも主人は人当たりがいいとは言えません。くっきり一重で目つきが悪く人見知りで無口。どちらかと言えば無愛想なタイプです。子供好きとは言うけれど、近くに小さな子がいても自分から声をかけたりあやしたりしているところは見たことがなく、妊娠中お腹に声がけするときも、とってもぎこちなくて笑っちゃう位でした。男の子を懇願していた主人は、女の子の可能性が高いことを知るとすごくガッカリした様子で、でも最後まで諦めない!の一点張りに、正直ちゃんと父親ができるか、かわいがってくれるか心配していました。
そんな主人がメキメキと親バカっぷりをあらわしたのは娘が生まれた直後からでした。もう顔がゆるみっぱなしで、口にする言葉といえば「かわいい」のみ。今まで見たことのないその穏やかな笑顔はまさしく「父親の顔」でした。
娘が生まれてからの3日間、会社はお休みをくれました。その3日間を朝から晩までお見舞い(?)に来て一日中娘を眺めてはニヤニヤしていました。仕事に戻ると夜は遅いから、と出勤前に顔を見に来る熱心ぶり。娘の変顔をカメラにおさめては「見て見てこの顔~」と無邪気な笑顔。おっぱいをあげることができないことをとても悔しがりながら、自分のできるお風呂やおむつ交換を率先して行いすごくうれしそうにしてます。私が家事と育児でイライラしていても「ママを困らせてたの~?」なんて言いながら笑顔であやしている姿を見ると、私のイライラもふっとんじゃいます。
人目をはばからず娘をあやす姿に、私や私の両親はおろか、主人の家族全員が口をそろえて、主人は変わったと言います。本当に優しくなり、別人のようによく笑うようになりました。
娘が生まれて4か月が経ち、表情が豊かになってきました。それが余計に嬉しくて一生懸命娘をあやす主人を見ながら、私も負けないぞ!!と笑顔。みんなでニコニコしてるって、これほどの幸せはないですね。家族3人で一緒に笑ってる時間が今は一番の幸せです。
娘が生まれた日の夜、娘を真ん中に親子3人川の字になって眠りました。ふと主人が、「娘を生んでくれてありがとう」と口にしました。すごくすごく嬉しかったです。そして今、私は娘に伝えたい。
「生まれてきてくれて、ありがとう」

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