持田ヘルスケア株式会社

スキナベーブ エッセイコンテスト

【第8回】
~ 赤ちゃんとわたし ~

入選

兄弟

宮崎県  主婦  31歳

2008年4月20日午前1時52分。我が家に次男「あつと」が誕生した。陣痛の痛みから開放された安堵感、無事元気に生まれてきてくれたことへの感謝の気持ち、ものすごい体力を使ったことによる疲労感・・・などなどいろんな気持ちが織り交ざる中、私の頭をよぎったのは、長男「ゆうと」のこと。
妊娠中私が最も不安だったのは、赤ちゃんが生まれてきてからのゆうとがどんなお兄ちゃんになるかということ。
「赤ちゃんがえりして大変だったよ」「見てないとこでつねったり叩いたりしてるのよ」などなど、先輩ママさんから辛口の体験談をうかがっていた私は、ゆうとがどんなお兄ちゃんになるのか、10%くらいの期待と90%以上の不安を抱きながら妊娠生活を送っていたのだ。
赤ちゃんが出てくる絵本を読んでみたり、お友達の赤ちゃんと触れ合わせたり・・・。そんなことをしながら過ごしていたある日、「トラの男の子のおうちに新しく妹がやってくる」というストーリーのテレビをみせていたところ、突然テレビの中の赤ちゃんトラを叩き始めたのだ。
「なんでなんで!?どうして?どうして叩いたの!?」
あまりのショックに私もつい大きな声で問い詰める。するとゆうとが拳を振り上げたまま
「だって・・・だってみんな赤ちゃん赤ちゃんって・・・」
そう。祖父母までが赤ちゃんにばかり興味津々で、男の子がしょんぼりしていたのだ。ゆうとは、その男の子に自分を重ね合わせていたらしい。
そうだよね・・・。弟や妹が出来ることは、2才のゆうとにとっては重大事件。わかってあげているつもりが、新生児を目の前にすると忘れちゃうんじゃないか?ゆうとにそんな悲しい気持ちだけは絶対に持たせたらいけない。
その日心に誓った気持ちが、出産した直後にスッと心を駆け抜けていったのだ。
今この瞬間から、私は2児のママ。ゆうとの心も、生まれたばかりのあつとの全てを、私が絶対守ってみせる。
妊娠中に感じていた不安が、何故か泡が消えるように徐々に消えて、母としての使命感に変わっていったのがわかった。
そして2ヶ月が過ぎた。
ゆうとは立派なお兄ちゃんぶりを発揮している。
泣いていれば、私より先にベッドへ走っていき、メリーの音楽のスイッチを入れる。手荒い抱擁の後必ずキス。オムツを替えるときには必ず新しいオムツを取ってくれて、汚れたオムツは捨てに行ってくれる。
忙しく過ぎていく毎日。
洗濯物を干していた私に、ゆうとが網戸越しに
「ねえ・・・ママ!よかったね~」
と言った。
「んん?何がよかったの?」
「ママ!よかったね~。赤ちゃんがママのおなかから生まれてね~。あっ君がおなかから生まれてよかったね~」
久しぶりに泣いた。涙がこぼれたんじゃなく、号泣した。
「どうしたのママ?ゆうたんのおててを食べたら元気になるよ!」
そんな優しい長男ゆうと。お兄ちゃんの愛を一身に受ける次男あつと。きっと仲の良い兄弟になるに違いない。

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