【第4回】
~ はじめての沐浴 ~
入選
沐浴ができる!
【看護師助産師部門】 長野県 看護師 34歳
息子が退院する時、助産婦さんに「お母さんは産後大変ですから、お父さん赤ちゃんのお風呂担当になってくださいね。あっでも心配ないですね、お父さん看護師さんだから。」と言われ馬鹿みたいにニヤニヤ顔をほころばせ家に帰ってきた。
当然沐浴は看護学生の時に実習で習った事があり、ほとんど抵抗はなかったのだが、いざ自分の息子を初めて沐浴した瞬間、汗と涙で一杯になった。
3年前に結婚し妻の妊娠がわかったが、そのあとすぐに小さな命が消え、同時に妻の病気がわかり手術、その後、何度も2人で努力をし子供を授かろうと努力したがなかなか出来ず、諦めかけていた矢先の妊娠、夢にまで見た出産を迎え無事元気な男の子が生まれた。
ベビーバスも妊娠がわかってすぐに買った。しかし自分の両親は買ってきてからなかなか包装紙を開けようとしなかった。「ちゃんと生まれるか心配・・・」皆がそう思っていた。ゆえに沐浴が出来る事の嬉しさはひとしお!まずお風呂にお湯を溜めて、温度を測り、息子の服を脱がせ、さあ入るよ!どの行為をとっても沐浴が出来ることに嬉しさを隠し切れないでいる。
まだ生まれたばかりの小さな命が自分の手の中にあると言う事はこの瞬間しか味わえない気がしてならない。沐浴している時の赤ちゃんの落ち着きを皆が見て、「さすが看護師のお父さん!全然赤ちゃん泣かないでお風呂に入っているね。」と回りに言われ、ニコニコしている今の僕の机には、看護学生時代の沐浴指導が書いてある古い教科書が広げて置いてある・・・・
「ふう!・・・こんな手順でよかったんだよな・・・・」