持田ヘルスケア株式会社

スキナベーブ エッセイコンテスト

【第3回】
~ 赤ちゃんのいる風景 ~

入選

ママも赤ちゃんもがんばって!

【看護師助産師部門】 女性  45歳

「痛い!」
「うん、痛いよね。」
「もうダメ!」
「つらいよね。わかるよ。」
私の中で心が叫ぶ。うそつき!偽善者!辛さなんてその人しか解るわけない!そう、私が解るのは、自分の出産の時の痛さ、辛さ、そして感動!自分が長く感じた時を少しでも短く、軽く感じられるように援助したい。どうしたら少しでも楽にしてあげられる?いつも心の中で葛藤している。
「まだ生まれないの?あとどのくらい?」
「もう少しよ。がんばって!」
「さっきからもう少しばかり…。」
あっ!?また「がんばって」って言っちゃった。そうだよね、一生懸命がんばっているものね。これ以上何をがんばれっていうんだろうね。ごめんなさい。でも、やっぱり私がかけられる言葉は「がんばれママ!がんばれ赤ちゃん!」だけ…。必死のお母さんは気づかないかもしれないけれど、本当に少しずつ進んでいるんだよ。きっと今は私にしか解らない感覚だけど、やがて必ず訪れる幸せな時に一歩、一歩近づいている。どうしたら励ましてあげられる?お願いだから私に伝えて。
もうすぐ生まれる。赤ちゃんの髪の毛が見える。かわいいおでこ、お鼻、お口が出た!
「こんにちは!!はじめまして!もう少しでママに会えるよ。」肩が出て、後はつるりと体がすべり出る。「おめでとう!かわいい赤ちゃんだよ。」初めて聴くあなたの声!まるで天使の歌声みたい。ママの涙は真珠の宝石。なんて幸せな時。
輝く命をこの手に受け止められる、助産師。赤ちゃんがこの世に生まれ出で、一番初めて会う人間。ごめんね、ママより先で。
私自身のお産はもう十何年も昔。百点満点とはほど遠いお産だったけど、たくさんの感動をもらった。人の辛さは解らないけど、人の痛みは同じに感じられないけど、私がしてもらったように、少しでも援助たい。出産に立ち会うたびに、自分も一緒にお産をしている気持ちになる。ママの胸で安心している赤ちゃんの顔を見て、柔らかいほっぺに触れて、甘い匂いをかいで、毎日の元気をもらっている。生まれたすべての子が、自分の子に思えて愛しい。「いつまでも幸せに!」と祈らずにはいられない。

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