持田ヘルスケア株式会社

スキナベーブ エッセイコンテスト

【第3回】
~ 赤ちゃんのいる風景 ~

入選

「あったー!!」

【一般部門】 女性  32歳

大学病院のベビールームのガラス越しで、沢山の赤ちゃんを目の前にして「これ、全部ママが産んだの?」…これは4歳になる長男が初めて弟と対面した時の感想である。
もちろん私は1人しか産んでないのだけど。
長男は私が出産前、自然一杯の我が家の庭でカマキリの卵がかえるのをマジマジと観察していたのだ。すぐに自分の弟を確認した長男は照れくさそうで、でもうれしそうな顔をしていた。
退院の日、長男は私と弟が帰って来るのを自宅で心待ちにしていた。玄関のチャイムを鳴らすと直ぐに飛び出てきた。初めておっかなびっくりだっこして一言。「チビでサルだな…。」
この日からチビ…いやちっちゃな次男中心の生活が始まった。二人目なのでベビーを育てる上では、これから待ち受ける困難は大体想像がついた。ただ長男と次男の二人の世話をするという事ではどうなってしまうんだろうという不安で一杯だった。でも何とかなるもんである。なんだかんだで一年が経った。
ゆっくり慎重な長男、そして一歳にして短気でずる賢い次男に増々振り回される毎日だ。一人っ子でボワーンと育った私が朝から晩まで「コラ~!!」と一日中大声をあげている。心の中ではいつも「ア~疲れた。少しは勘弁して~」と何度も呟く。でもそんな事に負けていては二人の男の子の母親は勤まらない。またまたカリカリしていたら、「ママ、怒ってばっかり。」長男に言われて少々反省した。
「よし!今日は絶対怒らないぞ~!!」ある日そう決心した。出来るだけ子供と思いっきり遊んでやろうと思った。息子達と夢中で遊んでいると長男が次男に気遣ったり、次男が長男に甘えたりと今まで気付かなかった二人の関係が見えてきて、感動して目がウルウルしてしまった。その涙に気付いた長男が「ママ、なんで泣いてるの?僕がだっこしてあげるよ!」と私に抱きついてきた。それを見て次男がやきもちを妬いてまだ歩けないくせに私の背中にゆらゆらしながら立ち上がって、ぴったりと顔を近付けてきた。二人が無性に可愛く思えて「よーし、二人ともだっこしてやるぞ~!」とふたりを足の上に乗っけてギュ-ッと抱いてやったら、まだ上手に話せない次男がニコニコ笑いながら拍手して、お兄ちゃんにチュってキスをした。
毎日生活していくのに精一杯で、その日その日を暮らしていたけれども、二人ともいい子に育っているじゃない。問題はママの方だわ。こんなに素敵な子供達を産んだんだから、毎日毎日楽しく、いつも明るいママで居ないと。男の子だから数年後にはママから離れて行ってしまうのね。今の内に嫌がれるくらいくっ付いてやるぞ。しつこくくっ付いていたら、最近の次男はキス魔でなかなか治らない風邪の鼻水をべったりとくっ付けてくれるぐらい熱烈。
まだ上達しないお口だが、何でも「あったー!!」と指をさす。
今日も「あったー!!」とお兄ちゃんを指差し、お兄ちゃんも「あったー!!」と弟の顔を覗き込む。仲良しの二人。
そんな様子を見るのはママとして幸せな一時である。

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