持田ヘルスケア株式会社

スキナベーブ エッセイコンテスト

【第14回】
~ 赤ちゃんとの出会い ~

入選

私のパンプキンボーイ

大阪府  パート  女性  38歳

私はカリフォルニアで、長男を出産しました。
なぜなら、私の夫はアメリカ人で、結婚してからそこに住んでいたからです。結婚5年目で授かった赤ちゃん。初めての出産を海外でする不安はあったけれど、「すべてはうまくいく」という何の根拠もない自信もありました。夫は45才、私が34才のときです。
夫婦2人だけで迎えた赤ん坊の誕生は、とても静かで、平和で、神聖なものでした。
しかし、その日はアメリカで1番のパーティ日といっても過言ではない、ハロウィーンの日の朝でした。
ということは、毎年、この子の誕生日には、街中が仮装をして、クレイジーなパーティで盛り上がる。何とも愉快な日に生まれてきたな、という嬉しさの反面、とんだパーティボーイになりそうだなという、少しの不安があることも否めません。
10時間の分娩後、やっと会えたわが子を胸に抱いたとき、私は思わず笑ってしまった。無事に生まれてほっとしたのと、嬉しいのと、たまらなく愛おしいのとで、笑顔が溢れました。
こんな愛おしさを感じるのは初めてで、胸が温かく満たされた。
それに息子は、夫には申し訳ないくらい東洋的な顔で、私はさらに笑いました。遺伝子はこう、でてきたか、と。
しかし、情け程度に足の形だけは夫に似ていて、そこだけでも西洋の遺伝子を確認できて良かったです。本当に、足だけですけど。
ハロウィーンに生まれたわが子は、さすがというべきか、よく泣く賑やかな赤ちゃんでした。夜もあまり、寝てくれません。私は人に頼めない性格であり、周りに人がいない孤独な子育ても相まって、疲労が極度に達しました。夜中に泣く声など聞きたくもないと、耳を手でふさいだこともあります。そんなことをしても、赤ん坊は泣き止んではくれません。仕方なく起きて息子を抱きかかえ、ふと時計をみると、午前4時44分。そんな「4時44分」が何日も続き、4がやたらと目に付きました。
なんだか気になるので、何か意味があるのか探ってみると、エンジェルナンバーというものにめぐり合ったのです。そこには、4という数字は「天使がいる」という意味だとありました。
私は、はっとしました。そうだ。私のところに来てくれた赤ちゃんは、天使だったのだ。
日々の子育てのつらさの中で忘れていたこと。それは、授かったわが子は、まさしく私に訪れてくれた天使だったということです。
目を閉じておっぱいを飲んでいるときの息子の顔は、何とも無垢で、平和で、心が癒されました。
すやすやと眠っているときの寝顔は、まさに天使のような美しさ。
ごめんね。泣き声がうるさいなんて思って。私は自分の未熟さを反省した。かあちゃん、がんばるよ。
異国での寂しい生活も、息子のおかげで人のつながりが広がり、私自身が成長する機会になったと思います。引っ込み思案な私も、息子のことには引っ込んでもおれず、夫には「強くなったな」と言われてます。それは決してほめ言葉でもないですけどね。
その息子も、もうすぐ4才。今は日本で生活しているので、電車と自販機とおすしが大好きな子になりました。
やんちゃくれで困ることもあるけれど、息子の笑顔と、優しいハグとキスは、私の心をほっこりと温めてくれる。
その温かなぬくもりは、ほかの何にも変えられない私の宝物です。
さて、今年のコスチュームは何にしようかな?

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