持田ヘルスケア株式会社

スキナベーブ エッセイコンテスト

【第13回】
~ 赤ちゃんとのふれあい ~

入選

天使が三人

愛知県  会社員  女性  52歳

春とは名前ばかりで、まだまだジャンパーをはおらないと寒い、三月の初めの夕暮れ時に、三歳の長男と公園に出かけました。
家から、公園までは、子供の足で5分程の距離、長男は、靴を履くのももどかしそうに、玄関を飛び出て、公園まで、一目散に走っていきました。
仲良しのお友達は、そろそろ手を洗って、おうちへ帰る準備を始めていました。
お友達のお母さんが声をかけてくれました
「ゆうま君、久しぶりだね。お兄ちゃんになったんだよね?」
長男は、息をはずませながら、「うん、僕、兄ちゃんなんだよ、本当は、赤ちゃんも、一緒に公園に連れて来たいけど、寒いから、おうちで、お留守番してるの」とこたえました。
それを聞いて、お友達が得意げに言いました。「僕んちの赤ちゃんは、もう、ハイハイができるんだぞ」
長男は、大きな声で答えました。
「僕んちは、赤ちゃんが、二人もいるんだぞ。だから、うちは、天使が二人いるんだ」
そう、二ヶ月前に、男の子の双子の赤ちゃんが生まれたのです。
それにしても、私は、びっくりしました。なぜなら、妊娠中は、流産をしかけて、ほとんどを病院で過ごして、長男には、寂しい思いをさせました。
出産後、家に帰ってからは、二倍の授乳やおむつ交換、もちろん、掃除、洗濯や食事の支度もしなくてはいけません。
睡眠は、細切れで、一日に3時間程度で、正直、疲れきっていて、長男のことは、二の次になっていました。
それなのに、弟達の事を「天使」と呼んで自慢する、その姿に涙がこぼれそうになりました。
赤ちゃん達二人供が、眠っている、その間、おばあちゃんが留守番をしてくれる三〇分だけが、公園で遊べる時間でした。
そんな時間は、すぐに、終わってしまって、また、走って家に帰ります。
家に帰ると、まず、手を洗って、赤ちゃん達を覗き込みます。そんな頃、時間通りに赤ちゃん達は、目を覚まして泣き始めます。
それを合図に、私は急いで、ミルクを作ります。長男は、クッションを自分の左脇に置いて床に座ります。
おしめを換えて、一人目の赤ちゃんを、長男の膝の上におくと、クッションと左腕で、上手に赤ちゃんを支えながら、ミルクを飲ませてくれます。
私は、その隣に座って、二人目の赤ちゃんに、おっぱいを飲ませます。
思わず、微笑みがこぼれる、ひと時でした。長男は、弟達の事を「二人の天使」と呼ぶけれど、お兄ちゃんになった、長男も、私にしてみたら、「天使」に見えました。
年月が過ぎて、「三人の天使達」も大学生になり、天使から、大食漢の「怪獣」に変身してしまったけれど、あのひと時は、「天使達」がくれた、宝物として、心に残っています。

ページの先頭へ

電話をかけて相談・問い合わせる

お問い合わせ 0120-01-5050
(9:00~17:40 土、日、祝日、会社休日を除く)

PCサイトを表示する