持田ヘルスケア株式会社

スキナベーブ エッセイコンテスト

【第13回】
~ 赤ちゃんとのふれあい ~

入選

赤ちゃんサラダと世界一の手のひら

広島県  主婦  女性  36歳

「トマトを洗って…、レタスを洗って…。」
まずは、顔。そして、胸からおなかにかけて…。
「きゅうりをトントントン、きゅうりをトントントン。」
右手を優しくなでて、リズミカルに軽くたたいていく。左手も同様に、ゆっくりと時間をかける。すべすべで、やわらかくて、もちもちしていて…赤ちゃんの肌って、どうしてこんなに気持ちいいのだろう、と思う。このほんわかした触り心地、そしてふわっとした匂いを言葉で表現するのは難しい。
「マヨネーズをかけて…、いただきまーす。」
足の裏を合わせてぐるりと円を描き、そのまま足で合掌する。
「パクパクパクパク…、寛ちゃんサラダ、ごちそうさまでした!」息子も私も、自然と笑顔になる。
私がベビーマッサージの講座に参加したのは、長男が4ヶ月の時だった。初めての子育てで、「この子のためにできることは全てやらなければ」という気負いもあった。1時間程の講座の間、息子はとても気持ち良さそうに、ご機嫌な時間を過ごした。私がするマッサージに対して、目を見開いたり、まゆげや口、手足を動かしたりと、全身を使って様々な表情で応えてくれた。一方で私は、彼の肌に触れながら、とても穏やかな気持ちになっている自分に驚いていた。子どものために、と参加した講座が終わる頃には、私自身がものすごく癒され、満たされた気持ちになっていたのだ。私が彼に何かをしてあげる、というのは思い上がりだった。彼が私に与えてくれている幸せの有り難さにはっとした。その日から、マッサージは息子と私の日課になった。彼のため、と同時に、私のために。
あれから、もう5年半が経った。
「泰ちゃん、おいで。マッサージしよう。」
お風呂上がりに裸で走り回っている長男を呼んでみた。すると、
「ゆうちゃんもー。」
と、同じく裸の2歳の次男もやってくる。長男は、ちょっぴり恥ずかしそうに、ウフフ、と笑いながら、それでも私に身を任せてマッサージをされている。我が家流になっているかもしれないが、息子も私も気持ちいいので、よしとする。次は次男の番だ。キャッキャッとうれしそうに大笑いしている。もう一回、もう一回と催促される。隣では、長男が4ヶ月になる三男にマッサージをしている。初めてベビーマッサージを習ったのは長男がこのくらいの時だったなぁ。そんな事を考えながら、長男と交代して三男のマッサージを再開する。
考えてみると、私はこれまで数え切れないほど、息子たちにマッサージをしてきた。そして、その度に手のひらを通じてたくさんの笑顔と幸せとパワーをもらってきた。この積み重ねはもしかしたら凄い事なのかもしれない。そして、毎日夫が息子たちをお風呂に入れてくれるからこそ、私はこういう時間を持ち続けることができている。私の手のひらには、私にとって、世界でいちばん大切なものが、ぎゅーっと詰まっているのだ。
三男のマッサージを続ける。ドタバタした毎日だけれど、この時だけはゆったりとした時間が流れ……
「まぁだパジャマ着とらんのんねー!はよ着んさい!」
……ゆったりとした時間が流れない事も多くて、何だかごめんね…と、三男に視線を落とすと、とびきりの笑顔をくれた。「まぁー、寛ちゃんかわいいねぇ。」思わず自分から出た声が、さっきよりも1オクターブは高いことにくすっとして、今日も私を笑顔にしてくれてありがとう、と心の中でつぶやいた。

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