持田ヘルスケア株式会社

スキナベーブ エッセイコンテスト

【第10回】
~ 赤ちゃんとの記念日 ~

入選

私の妊娠 お腹越しの会話

埼玉県  主婦  26歳

妊娠が発覚したのは今年の初め1月のことでした。そのとき妊娠2カ月。それは私にとって大きな衝撃でした。自分が一人の人間の親になるということや、子供を育てていくことの大変さを考えると、心にできる不安は決して小さくありませんでしたが、それ以上におなかに宿った命の存在は嬉しいものでした。妊娠発覚の日の夕食後に旦那と食べたお祝いのレアチーズケーキは喜びの味でした。
間もなく つわりが始まりました。ご飯が炊ける香りに胸やけをし、それまで大好物だったコーヒーの香りですら受け付けず おみそ汁や納豆なども目に入れたくない毎日。かんきつ系の果物とチーズとヨーグルトで乗り切る毎日。常に胸がむかむかし仕事から帰ると倒れこんで眠る日々。旦那がスーパーのお弁当と即席のおみその夕食を私の目に入らないようにキッチンで素早く済ます姿は忘れられません。
妊娠4カ月、想像以上に苦しいつわりが落ち着き始めたころに退職し、私は専業主婦になりました。身軽なうちにベビー用品をそろえようと、旦那が休みの度に出かけるのは早々と会員になったベビー用品店。その都度カートいっぱいに肌着やマタニティ用品を購入しました。さらに義姉からお下がりの赤ちゃんグッズを大量にいただいたり、親からは会うたびにベビー用品をプレゼントしてもらい、部屋中が赤ちゃんのもので満タンになるには時間がかかりませんでした。
月一回の検診では毎回 異常なし のスタンプを押していただき、辛かったつわりから一新 妊娠中期からは元気いっぱいの妊娠生活を送りました。
そして月日は速く流れ、真夏の8月、私は臨月を迎えました。
おなかは大きく膨らんで 体も丸みを増しました。週一回の検診でも相変わらず 異常なし のスタンプを押してもらっています。体が大きくなったぶん、動くことが辛くなりましたが 家族やすれ違う周りの人々からの温かい助けの手の存在に気が付き 感謝の気持ちが生まれました。
おかげでお腹の赤ちゃんもすくすく育ち、もうすぐ3000gに達しようとしています。
検診のときに超音波で見る赤ちゃんの映像ではトクッ トクッ トクッと速く動く心臓の音を聞くことができ、元気に育つお腹の中の赤ちゃんに安心します。
妊娠5カ月末から感じられた胎動はますます大きくなり、以前はお腹の奥のほうをニョロ~と動いていたのが 今では容赦なくお腹の中から蹴りつけてきます。食事中も食事を美味しいと味わっているようにドンドンと、入浴中は赤ちゃんも湯加減が気持ちいいとくつろいでいるようにドンドンドンと、そのキック力で私のお腹がポコポコと変形するほどです。日に日に強くなるキック力に私は痛みすら感じてしまい顔をしかめることもしばしば。周りから「おなか痛いの?」「大丈夫?」と心配の声をかけてもらうこともしばしば。
それならばと、最近は赤ちゃんのドンドンのキックに対応して 私もおなかをポンポンと手で太鼓のように鳴らして赤ちゃんとの会話を楽しんでいます。赤ちゃんが元気にお腹を蹴りあげて、私もお腹をポンポン 時にはトトトンとリズミカルにたたいて赤ちゃんに「どうしたの~?」「赤ちゃん元気だね~」などと答えます。さらに倍返しされてドンドンドンドンと蹴られた時には赤ちゃんが会話に応えてくれたような気分になります。
いよいよ出産のころ。赤ちゃんの胎動を感じられるのはあとわずか。お腹の中からの赤ちゃんの声は私を幸せにしてくれています。
ただ祈ることは 赤ちゃんが元気に産まれてきてくれること。元気に産まれてきて そしてその元気な姿を私に見せてほしい。
今日も赤ちゃんとのお腹越しの会話は順調。あと二十日余り お腹越しからおしゃべりです。

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