助産師に聞く 産褥期のQ&A
産褥期の悩み・不安
出産後、産じょく期(出産~生後6-8週間)と呼ばれる時期の生活がどのようになるのか、はじめての出産を控えた妊婦さんたちは、期待と同時に多少の不安も感じているのでは?
産後すぐの生活をイメージしやすいよう、赤ちゃんのお世話のこと、自分のからだのことなど、
産じょく期に抱えがちな悩みや心配について助産師さんに詳しく教えてもらいました。
赤ちゃんのスキンケアについて、ママが気をつけるべきことは~チェックポイントと洗い方のコツ~
赤ちゃんのお肌はとってもデリケート。湿疹やあせも、おむつかぶれなど、トラブルを抱えやすいため、新米ママが初めて直面する悩みになることも、少なくありません。
すべすべ赤ちゃんの肌を守るために、ママはどんなことを気をつければよいのでしょうか? 助産師さんに、赤ちゃんのスキンケアについて知っておくべきことについてお聞きしました。妊娠中から心得ておけば、出産後に慌てずにすみますよ!
おむつ替えや沐浴は、赤ちゃんの全身の肌の状態を観察することができるよい機会です。赤ちゃんの肌は新陳代謝が活発なうえに、とても汗っかきです。また、皮脂の分泌が多いため汚れと混ざり皮膚にこびりつきやすいため、あせもや湿疹などのスキントラブルを起こしやすいのです。
そのほかにも、抵抗力が弱い赤ちゃんはカンジダ皮膚炎やとびひ、水いぼなどの感染性のスキントラブルも起こしやすいので、普段から赤ちゃんの全身の肌の状態をチェックする習慣をつけ、清潔にしてあげることが、赤ちゃんのスキンケアの基本であり、一番大切なことです。
<スキントラブルを起こしやすい部分と予防法>
頭
汗腺・皮脂腺が多いため、ほかの部分よりも汗をかきやすく、皮脂汚れもたまりやすい部分です。髪の毛をかき分けて頭皮や髪の毛の生え際にあせもや、乳児湿疹(赤いぽつぽつとした湿疹)、脂漏性湿疹(ベタベタとしたかさぶた状をした赤い発疹)ができていないかチェックしましょう。
あせもや乳児湿疹、脂漏性湿疹の予防には、毎日の沐浴でしっかり石けんで丁寧に汚れや脂肪分を洗い流し、清潔にしてあげることが大切です。脂漏性湿疹のかさぶたは無理にはがさないように注意しましょう。また、汗をかいている時は乾燥したタオルで拭いてあげたり、頭の下に敷いているタオルもこまめに交換して、清潔に保ってあげましょう。
顔
眉付近、ほっぺ、小鼻の周りは、乳児湿疹・脂漏性湿疹ができやすい部分です。また、口周り・あご付近は、よだれやミルク、母乳などが付着し、長時間放置してしまうとかぶれやただれを起こしやすい部分です。
顔は、常に観察できる部分でケアもしやすい部分ですから、毎日石けんをつけて清潔にしてあげるほかにも、べたつきや汚れに気を付け、濡れたタオルやガーゼでこまめに優しく拭きとり、拭き取った後は保湿ケアをしてあげましょう。
首・わきの下
皮膚が重なり合っているため汗や汚れがたまりやすく、あせもや乳児湿疹、水いぼ(1~2㎜の肌色の小さないぼ)ができやすい場所です。また、汚れや石けん分、水分が取り切れず臭いの原因になることもありますから、沐浴の時は、重なり合っている部分にしっかり手を入れて洗ってあげましょう。そして、沐浴後や着替えの際、首は顎を上に挙げ、脇は腕をきちんと上に挙げた状態で汚れが取り切れているか確認し、水分をしっかり拭き取ってあげましょう。
手足のくびれ
手首・足首のほか、膝や腕の関節などの皮膚が重なり合っている部分は、汗や汚れだけではなく、沐浴での石けん分・水分もたまりやすいため、臭いやあせもを起こしやすい部分です。くびれ部分の皮膚や関節をしっかり伸ばして洗い、洗った後も石けん分や水分をしっかり拭き取ってあげるように気をつけましょう。
おなか・背中
おなかは、皮脂腺・汗腺が他の部分に比べて少ないため、頭や顔、首などにできるような湿疹はできにくいのですが、時にとびひ(うすい水疱で自然につぶれやすい)や水いぼなどの感染性のスキントラブルが見られることがあります。そのようなときは、早めに小児科か皮膚科を受診するようにしましょう。
背中やおむつのウエスト部分は汗をかきやすかったり、締め付けたりすることであせもができてしまったり、かぶれてしまうことがあります。ウエスト部分におむつのギャザーの型がついていないか、締め付けている部分が擦れて赤くなっていないか、あせもができていないかなどの観察をし、そのような症状があるときは、少しおむつを緩めてあげたり、濡れたタオルやガーゼで汗や汚れを拭きとってあげましょう。
おしり
おむつを長時間当てていると、うんちやおしっこの成分がおむつかぶれ(かゆみのある赤い湿疹を伴った皮膚炎)を引き起こします。また、おしりふきで強くこすり過ぎた刺激で皮膚炎を悪化させてしまい水疱になってしまうこともあります。おむつをこまめに替えることが大切です。
そして、うんちの後は、お湯を張った洗面器やシャワーで石けんをつけて洗ってあげたり、ペットボトルにぬるま湯を入れ、おむつの上で洗い流してあげたりするのもいいでしょう。おしりふきでこする回数を減らし皮膚への刺激を少なくすることができます。
おしりはどうしても何度も洗ったり拭いたりしなければならないため、乾燥もしやすい部分です。ですから、おむつを替えるたびに保湿ケアも一緒にしてあげましょう。それでも症状が悪化してくる場合は、小児科を受診しましょう。
普段の赤ちゃんのお世話のなかで、ママ目線のチェックが大切だということですね。
からだの部位ごとのチェックポイントは、妊娠中からしっかり意識して覚えておくと、いざ産後の沐浴のときにも、落ち着いて洗ってあげることができそうです!
後編では、
●産褥期、ママのからだが辛いときに沐浴やスキンケアはどうしたら?
●保湿ケアの大切さ
について、さらに詳しく大谷さんに教えていただきます! お楽しみに♪
回答いただいた助産師さん
大谷紗弥子さん
聖母病院(東京都新宿区)勤務。
妊産婦さんやそのご家族が安心して新たな家族を迎えられるようにサポートをするかたわら、妊娠前の女性や妊婦さんへの食育やマタニティヨガを通して、女性のからだづくりにも携わっている。