助産師に聞く 妊娠後期のQ&A
妊娠後期の悩み・不安
出産を間近に控えた妊娠後期は、からだだけでなく、心も不安定になりがちです。
ひとりで抱え込まずに、助産師さんに相談をして残り少ない貴重な妊娠期間を存分に楽しみましょう。
満足のいく出産をするためには何をしたらよいでしょうか。
“満足”というのは、自分の思い描いているイメージと現実のギャップが少ないときに感じる感情です。
ですから、まずは自分がどのようなお産をイメージするのか。そして、そのイメージするお産に向けて、妊娠中をどのように過ごすかが“満足のいく出産”を実現するポイントになるでしょう。
まずは、“自分がどのようなお産をしたいのか?”をイメージしてみましょう。
イメージができれば、妊娠中からそれに向けて具体的な努力や準備ができますね。
具体的な努力や準備をする際に、頭に置いておいて頂きたいことをいくつかご紹介します。
◎出産場所の選択
妊娠から出産、産後までと長いお付き合いになるのですから、病院選びは大切です。「主治医の先生や看護師・助産師との相性はどうか?」「信頼できるか?」「出産予定病院の雰囲気やスタッフの雰囲気に違和感はないか?」「希望するバースプランは実現可能な病院か?」などといったことも考えながら選ぶとよいでしょう。
◎妊娠経過や分娩経過の理解
イメージしてきたこととかけ離れてしまう原因となりやすいのが、妊娠・分娩経過中のトラブルです。
つわりも落ち着き、「さあ!お産に向けて体力づくりのためにもそろそろ運動を始めよう!」と意気込んでいたのに、「切迫早産なのでできるだけ安静にしましょう。」と言われてしまい、運動も仕事もできずに自宅で安静にする生活を送らなければならなかったり、「妊娠中に食事も気をつけて、運動も頑張ったから、お産はスムーズに進んで行くものだと思っていたけど、陣痛が弱くなってしまいなかなかお産が進まず、すごく辛かった…」と、イメージと現実に大きなギャップが生じたりすることもあります。
妊娠・分娩はいつでも、誰にでもトラブルが起きる可能性があるのです。
だからこそ、妊娠や分娩がどのように進んでいくのかということをきちんと理解しておくことが大切です。
さらに、妊娠・分娩時に起こる可能性があるトラブルについても、いざという時に臨機応変に対応できるように、正しい情報を得て、心の準備をしておきましょう。
トラブルが起きてしまい、イメージしていた妊娠・出産と少し違ったものだったとしても、「その時、できることを頑張った!」と自分をねぎらう気持ちを忘れないようにしましょう。それが、トラブルを最小限に抑えることにつながります。
◎周りの人たちへの感謝を忘れずに
妊娠中は体調の変わりやすさや、妊娠の経過に伴ったからだの変化によって、思うように生活ができない事も出てくることもあります。
そんな時、家族だけではなく、職場の方々やお友達からの理解と協力はとても大切なものです。妊娠中からしっかりコミュニケーションをとって、信頼し合える関係を築いておけるといいですね。
家族や身内の人たちには、気を遣わずについ、わがままを言ってしまうことも多いかと思います。
職場の方々には、急なお休みで迷惑や心配をかけてしまうこともあるかもしれません。
だからこそ、普段からきちんと自分の周りの人たちへ感謝やねぎらいの言葉をかけるように心がけましょう。
お産は100人いたら100通りのお産があるように、“満足のいく出産”の考え方にも100通りの考え方があるのです。イメージするだけではなく、それに向けてきちんと努力と準備をしましょう。
しかし、予期せぬトラブルが起きてイメージ通りにいかない可能性もあります。
ですから、「これが正解!」「こうでなければならない」と考えるよりも、いざという時、「こんなことだってある‼」「現状で自分にできることはなにか?」と、状況をポジティブに柔軟に考えることも、“満足のいく出産”を実現するためには必要なことです。
もし、最初に思い描いたイメージとは違ったものだったとしても、「食事が改善できた」「運動するようになった」など、自分なりに妊娠中からお産に向けて、何かを「頑張れた!」と今後の自信につなげることができるような妊婦ライフを送ることができるといいですね。
回答いただいた助産師さん
大谷紗弥子さん
聖母病院(東京都新宿区)勤務。
妊産婦さんやそのご家族が安心して新たな家族を迎えられるようにサポートをするかたわら、妊娠前の女性や妊婦さんへの食育やマタニティヨガを通して、女性のからだづくりにも携わっている。