【第9回】~ 赤ちゃんと笑顔 ~
特別賞
・パパになったナルシスト男の変貌
石原 麻里子
東京都 主婦 24歳
ウチの旦那は自称〔ロンドンブーツの田村淳〕似で、自分はカッコイイと思い込んでいるナルシストである。私にはサザエさんの〔アナゴさん〕にしか見えないのだが…。
旦那は子供と接する機会がなかった事もあり、子供は好きでも嫌いでもないが、『カッコイイオレが子供と戯れる姿なんて想像できない』とかナルシスト発言をしてた。
そんな私達は一昨年、“デキちゃった婚”で子供を授かった。妊娠がわかった日の晩、
『いいんじゃん?』
と、突然旦那が言ってきた。
『は?何が?』
と聞き返すと、
『いや…子供デキたし…』
って。これがプロポーズの言葉だった。(笑)そしてここからナルシスト野郎との結婚生活がはじまった。
後期の検診で性別が男の子だとわかった時、旦那は男の子を望んでいたのですぐに報告をしたのだが、旦那の第一声は、
『はぁ~男の子かぁ…』
と、予想外のため息だった。その理由を旦那に聞くと、
『女の子だったら梅宮辰夫みたいにずっと一緒にお風呂に入って、彼氏ができたらどうしよう…』
と、〔子供が女の子だったら〕の妄想話を語り始めたのだ。鏡大好き!オレカッコイイ!の、ただのナルシルト野郎だと思っていたが、お腹の子の成長と共に旦那も〔ナルシスト野郎→父親〕へと成長していた事が、笑えつつもとても嬉しかった。
2008年10月我が子誕生!出産なんてテレビでしか見た事ないしかなりビビっていたのだが、〔コレは陣痛?〕と気づいた頃はもう生まれる直前。その後かなりのスピード安産でツルン♪と出てきた我が子を見た私の第一声は、
『うわぁ~超ガッツ(石松)じゃん!』
以前三船美佳が『赤ちゃんはガッツ石松か笑福亭鶴瓶どちらか似だ』と言っていたが、それが本当だと実証された。
私は子供が生まれてから2ヶ月ほど実家に世話になっており、その間2回ほど旦那が様子を見にきてくれた。が、旦那はとくにいつもとかわらない。私は息子を見ては嬉しさでついデレデレしてしまうのに、男って…とくにウチの旦那はそんなもんなのかな?嬉しくないのかな?なんて思っていたのだが…それは違った。里帰りを終えて自宅へ帰ってみると、旦那は『アンタ誰?』と聞きたくなる程に豹変したのだ。
暇さえあれば自分のジョリジョリした顎を息子に擦り付け、アナゴさん並に分厚い唇でチューをしながら、
『オマエはオレに似てホントに可愛いな!』
『こんなに可愛いんじゃテレビに出れるんじゃないか?』
などと親バカ炸裂(笑)どうやら旦那は人前でデレデレするのが恥かしかっただけなようだ。
また、子供が生まれてからの旦那の親バカぶりは起きている時だけに留まらない。たいてい寝言は『いらっしゃいませ~』『そちらはパソコンから…』などの仕事系だったのが、『子供の為にな』『○○(←子供の名前)ー!』等息子関連の寝言が増え、初めての育児で疲れた私に癒しと笑顔を与えてくれた。
現在息子は10ヶ月になり超パパ似。最近後追いが始まり私にベッタリの息子をなんとかパパ派にしようと、今日も旦那はジョリジョリ奮闘している。息子が生まれてから我が家に笑いの絶える日などない。