【第4回】~ はじめての沐浴 ~
大賞
・母になった日
【一般部門】148票
藤澤 佳那子
宮城県 看護師 22歳
あなたを授かった時、ママは「なんか気持ち悪いなー。風邪でもひいたかな?」なんて思ってた。まさか、あなたがいるなんて思いもよらなかった。ママはまだ若くて、ママになるなんてまだ遠い先のことだと思ってた。まだやりたいこともいっぱいあるし、夢だった看護師の仕事にも、やっと慣れてきたころ・・・。
正直とまどった。でも病院のエコーでわずか25ミリのあなたが、元気に心臓を動かしているのを見て、ママは涙が止まらなかった。
命より大切なものなんて、命を犠牲にしなければならないほどの夢なんてあるのだろうか。その時からママはあなたのママになることを決めました。そして、あっというまに時は過ぎ、今私はあなたのことをこの胸に抱いている。
そういえば、看護学生の時実習で何人か沐浴させてもらったなあ・・
小さな手、小さな足。裸にすると、とても小さく、頼りなく見えて、触っただけで壊してしまいそうだった。湯船につかりながら、ママを見つめる目はまるで、「守って・・ママ、私を守ってね。」と言われているように見えた。「うん。守るよ。ママのすべてであなたを守るよ。愛していくよ。」初めてあなたをお風呂に入れた時私はそう思った。
学生のころとは、違う「母になる」という責任とそして喜びを感じた。
我が子ってすごいなあ。我が子っていいなあ。
こんなことで心から幸せになれるなんてうれしい。
そういえば、パパが初めてあなたをお風呂に入れた時、おっかながってたけど、でもはりきってた。幸せそうな顔してた。
そっか、パパをパパにしてくれたのも、私をママにしてくれたのもあなたの命だった。
あなたの命が私とパパを夫婦に、親にしてくれて、そして家族を作ってくれたんだね。あなたの命それは、かけがえのないものだよ。
生まれてきてくれて、本当にありがとう。
あの時、あのタイミングで、そして授かったのがあなただったからこそ、今の幸せがあるのだと少し強くなった私は、胸をはっていえる。
私はきっと、初めてあなたをお風呂に入れた時のあの気持ちを、忘れることはないだろう。あの気持ちを胸にこれからもずっと、あなたを大切に育てていこうと思っている。
いつか、この話をあなたにできたらいいなあ。
そしてあなたもいつか母親になった時、我が子をお風呂に入れながらこんなことを思うのだろうか・・・。