おじいちゃん、おばあちゃん|赤ちゃんの沐浴はスキナベーブ

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持田ヘルスケア株式会社

エッセイコンテスト

スキナベーブ 赤ちゃんエッセイコンテスト

【第12回】~ 赤ちゃんへの手紙 ~

入選

・おじいちゃん、おばあちゃん

京都府  会社員  女性  33歳

お腹の中で子どもがゴロンゴロンと大きく動いたかと思うと、今度は壁を蹴るようにどすんどすん、衝撃がくる。
日に何度も元気いっぱい動き回るこの子は、かなりのやんちゃ坊主か、私に似たおてんばな女の子ではないかと想像してしまう。
元気に生まれてきてくれればそれでいいと思いながらも、素敵な大人になって欲しいと欲張り、その為にはいい両親でいなければ!と肩に力が入ってしまう私。
「今日もマメは元気だね~」
お腹をさすり、心の中で子どもに話しかけながら仕事に向かう。私の仕事はケアマネージャーで、たくさんの高齢者の方を担当させてもらっている。
自転車には乗れなくなったため、一軒一軒徒歩か車で訪問し、顔を合わせてお話を聞く。家族のこと、病気のこと、困っていることの相談にのるだけでなく、はるか昔の新婚旅行の話や自分より先に亡くなってしまった子どもさんの話も伺う。
なかなか名前を覚えてもらえなかった方に名前を覚えてもらえ、いつでも来てくれたらいいと言ってもらえるようになったところで、産休をとることになってしまった。
後任の職員も決まり、今月からは一人ずつに説明をしていかなければならない。
やはり気が重い。
最初に訪れたのは、以前から「あんたこどもはまだかいな~」と痛む腰を抱えながら私のことを心配してくれていた女性。
いつもの会話を終え、最後に恐る恐る産休をとることを報告すると、「よかったねぇ。」「よかったねぇ。」と何度何度も噛みしめるように繰り返し言ってくださるので、何度も何度も頭を下げた。
帰り際には「こけないように。体を大事にしないといけないよ」といつもは私が伝えてきた事を言ってくださる。また頭を下げて「○○さんも」と二人で笑いあった。
担当が代わることへの不安がどの方にもあると思うけれど、「おめでたいこと」「よかったね」と皆さん笑顔で言ってくださり、気を付けるべきことや自身の経験談を話してくださる。申し訳ないと気持ちとありがたい思いで、いつも心がいっぱいになる。
そんな中、入院されている男性にも「こんな時に申し訳ない」と思いながらも説明に訪れた。
しんどそうな様子で横になったまま話をされていたが、子どもができた事を伝えた途端、その方は起き上がり、目を輝かせながら、「男の子か!女の子か?まだわからんか?」「いつ生まれてくる?」「わしは一人目は女の子の方がいいと思う」「お父さん喜んだだろう?」と、自分のことのように、とろけるような表情で言ってくださった。その、大きすぎるくらいの喜び具合に面喰いながらも、子どもが生まれてくることの素晴らしさ、嬉しさを、私はまた改めて感じさせてもらえた。
その後もお見舞いに行くたび、、「男か、女か?」「元気か?」と孫を待つおじいちゃんのような柔らかい表情を見せてくださっている。
真冬に生まれてくるこの子を、暖かくなった頃には、たくさんのおじいちゃんやおばあちゃん達に紹介しよう、と今から楽しみにしている。

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