パパママ記念日|赤ちゃんの沐浴はスキナベーブ

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持田ヘルスケア株式会社

エッセイコンテスト

スキナベーブ 赤ちゃんエッセイコンテスト

【第10回】~ 赤ちゃんとの記念日 ~

入選

・パパママ記念日

東京都  会社員  32歳

娘が1歳になるお誕生日の10日前。
いつもと変わらない朝のはじまり。東向きの寝室は窓が大きく、朝になると一番に陽が差し込む。
当時、私たち夫婦は大きなベッドで、娘は一人ベビーベッドで寝ていた。娘が起きると「あーあーうふー」と何ともカワイイ声で、起きたよとアピールをするのが常。まだおしゃべりができない娘の精いっぱいの意思表示だ。
その日はいつもより40分ほど早く、6時前にベビーベッドでゴソゴソっと物音がした。どうやら起き上がって柵につかまり立ちをした様子。気配は感じていながら、もう少し眠っていたい私は声をかけられるまでベビーベッドとは逆方向を向いて寝たふりをする。毎朝まどろみながら行われる、このわずかな時間の駆け引きが何ともいえず心地よいのだ。
と、そのとき。いつもと違う音が聞こえた。
「マ・・マァ・・パ・パ・・」
!!!呼ばれた???
一瞬で目が覚めた。娘がはじめて「ことば」発した、そしてはじめて娘に「呼びかけられた」・・・!両方の事実が寝起きの頭に理解しきれず、すぐに動けなかった。すると、もう一度。
「マンマ・・パッパ」
やっぱり呼ばれた!!!
ベッドから跳ね起きた。「はいっ!ママだよ、おはよう!」動揺のあまり、つたない返事で娘を見るとくしゃくしゃっと顔全部で笑った。
すとん、と心に何かが落ちた。
そうか、この一瞬のために毎日育ててきたんだ。47時間に渡る陣痛から始まった、慣れない育児と深夜の授乳。会社員として働いている私は、生後6ヶ月で娘を保育園に預けて職場復帰もしていた。やるべきことはやってきたし、娘はとびきりかわいいと思っていたけど、「母」の自覚はそれほどなかった。そこまで感じる余裕がなかったのかもしれない。近くに実親や頼れる親戚もいなく、毎日が一生懸命。任務のように育児をこなしていた。
それが、この一言でこんなにも変わるなんて。
「ママ」と呼ばれることが、こんなにもあたたかいなんて。
「そうよ、私ママなの。あなたのママなの。」何度も何度も娘につたえて顔をくっつけると、いつもと違った私の様子にキョトン顔。ふと振り返って、夫を見ると起き上がってニコニコしている。私と同じように、いつも寝たふりをしていたらしい夫も、感動の一部始終を耳にしたようだ。「ママ」だけでなくちゃんと初めての呼びかけに「パパ」も加わったことが、仕事の傍ら育児を積極的に手伝う夫の苦労を帳消しにした。
こうして娘からパパ・ママと認められた私たちは、また家族になった。すこしだけ、親としても成長した気分。昨日までとはちょっと違う空気が、あわただしく身支度をする朝のなかにも流れ始めた。
赤ちゃんは新しいものを生み出す天才だ。私たちに親の自覚を、満足を。もっともっと大きくなった親子の愛情ときずなを。そして、家族の新しい記念日を生み出した。
2009年10月8日。我が家の「パパママ記念日」です。

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